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2014/11/19

経済産業情報

「社会保障ツーリズム」はノー、欧州裁が画期的判決

この記事の要約

欧州連合(EU)の他の加盟国からの移民に対しドイツが失業手当の給付を拒否したことの是非をめぐる裁判で欧州司法裁判所(ECB)は11日、拒否は妥当との判断を示した。中東欧から西欧の手厚い福祉だけを目的に移民する「社会保障ツ […]

欧州連合(EU)の他の加盟国からの移民に対しドイツが失業手当の給付を拒否したことの是非をめぐる裁判で欧州司法裁判所(ECB)は11日、拒否は妥当との判断を示した。中東欧から西欧の手厚い福祉だけを目的に移民する「社会保障ツーリズム」の横行に歯止めをかける画期的な判決として、大きな注目を集めている。

同判決はドイツに移民したルーマニア人の女性が、失業手当の給付を認められないのは不当として独政府を相手取って起こした訴訟に関するもの。EUでは加盟国が相互に労働市場を開放し、労働者が国境を超えて自由に移動できるようにするルールが導入されており、社会保障でも原則的に自国民と他の加盟国の労働者を同等に扱う決まりとなっている。しかし、独政府は同女性がルーマニアで働いたことがなく、ドイツに来た当初から未就労で、職業訓練を受けないなど就労意欲もうかがえず、ドイツ語も話せないことから、本国より手厚い社会保障給付を受ける目的の移民として、失業手当を給付しなかった。

欧州裁の裁判官は、EUの関連ルールでは、他国への移民は経済的に自立していることが前提となっていると指摘。この女性は同ケースにあてはまらず、ドイツの社会保障だけを目当てに移民したとして、失業手当を拒否した政府を全面的に支持した。

EUの東方拡大に伴い、中東欧からの移民の大きな受け皿となっているドイツなど西欧諸国では、このような社会保障ツーリズムの横行に対して、自国の財政を圧迫しているとして批判が強まっており、5月の欧州議会選で反移民などを掲げる極右勢力が躍進した一因となった。こうした状況を受けて、ドイツと英国は他の加盟国からの移民への社会保障給付要件を厳格化することを検討しているが、労働者の移動、権利保護に関するEU法との整合性の問題が指摘され、実施に踏み切れない状況にあった。