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2014/12/3

企業情報

武田薬品工業(製薬)―新薬「ラツーダ」の独販売中止も―

この記事の要約

武田薬品工業は新薬「ラツーダ」のドイツ販売を中止する可能性を視野に入れている。同社が「適切」と考える水準を大幅に下回る薬価を強いられる恐れがあるためだ。独子会社、武田ファーマ・フェアトリープのジャンリュック・ディレイ社長 […]

武田薬品工業は新薬「ラツーダ」のドイツ販売を中止する可能性を視野に入れている。同社が「適切」と考える水準を大幅に下回る薬価を強いられる恐れがあるためだ。独子会社、武田ファーマ・フェアトリープのジャンリュック・ディレイ社長が『南ドイツ新聞(SZ)』に明らかにした。

ドイツでは医療費を抑制する目的で2011年1月に施行された「特許薬の価格取り決めに関する法令(AMNOG)」に基づき、新たに上市された特許薬を対象に、第3者機関G-BAが薬効を評価・査定。既存薬より治療効果が高いと判断した新薬についてはメーカーと公的健保が交渉で薬価を決定する。際立った治療効果が認められなかった新薬の価格は、G-BAが比較に使用した既存薬(ジェネリック薬)と同等かそれ以下に制限される。

ラツーダは非定型抗精神病薬で、今年3月に欧州販売が許可された。ディレイ社長は同薬を画期的な新薬だとしており、薬価面でその点が評価されなければ販売中止を検討せざるを得なくなるとしている。同様の判断からすでに独販売を断念した製品があるという。