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2014/12/10

経済産業情報

ADACが組織を抜本改革、営利事業を株式会社に移管

この記事の要約

自動車ドライバーの会員制サポート組織である全ドイツ自動車クラブ(ADAC)は6日ミュンヘンで臨時総会を開き、組織改革案を承認した。ADACは一連のスキャンダルを受けて信用が低下しており、今回の改革により組織の透明性高める […]

自動車ドライバーの会員制サポート組織である全ドイツ自動車クラブ(ADAC)は6日ミュンヘンで臨時総会を開き、組織改革案を承認した。ADACは一連のスキャンダルを受けて信用が低下しており、今回の改革により組織の透明性高めるとともに営利志向を改め、信頼回復につなげる意向だ。

ADACでは会員を対象に毎年実施している人気投票「イエローエンジェル」の自動車部門賞で、投票者数を大幅に水増ししていたことが1月に発覚。その後、救済用のヘリコプターを幹部が私的に利用していたことや、自動車の故障で路上に立ち往生している会員にバッテリーを高い価格で売りつけていたことなども明らかになり、信頼が大きく損なわれている。税金が軽減される登記社団(e.V.)の資格をはく奪される懸念も出てきたことから、ADACは組織改革に踏み切った。

ADACは今回、営利活動とその他の活動を組織的に分離し、登記社団、株式会社、公益財団の3本柱からなる体制とすることを決定した。本来の業務である路上修理などの会員向けサービスは登記社団が実施。営利活動は縮小したうえで新設する株式会社にすべて移管する。また、一般向けサービス業務は新設予定の公益財団で実施する。

株式会社には登記社団が74.9%、公益財団が25.1%をそれぞれ出資する。計上した利益は公益財団の財源とする。

ADACは利益相反行為を回避するため、バッテリーやタイヤチェーンなど株式会社で販売を行う製品分野では性能テストを実施しない方針だ。同様の理由から独自の車両修理サービス事業を展開する構想をすでに断念した。