エネルギー大手の独RWE(エッセン)にアラブ首長国連邦アブダビ首長国の投資家が資本参加するとの観測が浮上している。ブルームバーグ通信が消息筋の情報として18日報じたもので、増資を引き受けて10%出資する方向という。同社の広報担当者は「さまざまな種類の提携を検討している」と回答するにとどめ、具体的な交渉内容は明らかにしなかった。
同通信によると、RWEと出資交渉しているのはアブダビ首長一族のマンスール・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン氏を中心とする投資家。現在の時価をもとに計算すると、10%出資する場合、出資額は約15億ユーロとなる。RWEは中東事業の拡大に意欲をみせており、アブダビの投資家グループとは現地事業でも提携を模索しているもようだ。
ドイツの電力大手は同国の原発廃止政策と再生可能エネルギー電力の急増に伴う電力価格の低下に苦しんでおり、RWEの純債務は昨年末時点で310億1,000万ユーロに達し、1年前に比べて0.9%膨らんだ。アブダビの投資家が出資すれば、事業拡大のほか、債務を削減できるメリットもある。
ただ、同社に計25%出資する地元ライン・ルール地方の自治体は増資を認めない考え。自治体の財政が厳しく増資に応じることが難しいうえ、増資を引き受けなければ出資比率が低下し、重要議決の拒否権を喪失するためだ。『ハンデルスブラット』紙によると、増資案件はこれら自治体が役員を派遣するRWEの監査役会が全会一致で承認しなければないことから、現時点で実現の見通しはない。