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2015/4/15

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フォルクスワーゲン―商用車事業の統合に遅れ―

この記事の要約

欧州自動車最大手フォルクスワーゲン(VW)グループの商用車事業統合計画が足踏み状態に陥っている。当初の予定ではグループ会社スカニアとMANおよびVW商用車部門を新設の持ち株会社に統合することを5月初旬までに決定し株主総会 […]

欧州自動車最大手フォルクスワーゲン(VW)グループの商用車事業統合計画が足踏み状態に陥っている。当初の予定ではグループ会社スカニアとMANおよびVW商用車部門を新設の持ち株会社に統合することを5月初旬までに決定し株主総会で承認を得る算段だったが、新会社の本社所在地をどこにするかなどで意見がまとまらず、先に進めない状況だ。社内情報として10日付『ハンデルスブラット』紙が報じた。

VWはスカニア、MAN、VW商用車部門からなる商用車連合の実現に向けてスカニアを2008年に買収し、MANも11年に傘下に収めた。だが、MANに対するスカニアの警戒感が強いことから協力関係が進展せず、しびれを切らしたVWは昨年、スカニアへの株式公開買い付け(TOBに)とスクイズアウト(少数株主からの強制的な株式買い上げ)を実施し、同社を完全子会社化した。

VWグループの商用車事業担当取締役に2月1日付で就任したアンドレアス・レンシュラー氏は商用車連合の実現に向けて持ち株会社を設立する考えを打ち出している。同持ち株会社の所在地は生産拠点に近いことが好ましく、その点から判断するとMANの本社所在地である独ミュンヘンか、スカニアの本社所在地であるスウェーデンのセーデルテリエが最も好ましい。ただ、このどちらかの都市に白羽の矢を立てるとMANとスカニアの確執が再燃する懸念があるため、レンシャー取締役は独フランクフルトを検討。これに対し、VWグループの一部の役員や、グループ内で絶大な権力を持つフェルディナンド・ピエヒ監査役会長は、グループの統括拠点である独ヴォルフスブルクに新会社を設置するよう求めているという。

レンシュラー取締役は商用車事業の独立性をできるだけ保ちたいと考えている。ヴォルフスブルクに新会社の本社が置かれるとグループの統制が強まるため、同市への選定を回避したいもようだ。

当初の予定では5月5日のVW株主総会と、同6日のMAN株主総会で持ち株会社設立計画の承認をそれぞれ得る方針だったが、両社の総会議事日程に同計画案は含まれていないという。

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