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2015/7/1

総合 - ドイツ経済ニュース

カリ肥料大手K+Sにポタシュが買収打診

この記事の要約

カリ肥料大手の独K+Sは6月25日、カナダの同業ポタシュから買収の打診を受けたと発表した。買収が実現するとポタシュは世界最大手に再浮上する。K+Sは打診内容を吟味中で、あらゆる可能性を検討していることを明らかにした。メデ […]

カリ肥料大手の独K+Sは6月25日、カナダの同業ポタシュから買収の打診を受けたと発表した。買収が実現するとポタシュは世界最大手に再浮上する。K+Sは打診内容を吟味中で、あらゆる可能性を検討していることを明らかにした。メディア報道によると、経営陣は受け入れを拒否する公算が高いようだ。

ポタシュは26日、買収交渉の打診を行ったことを明らかにしたうえで、最終的に買収提案を行うかどうか、および買収提案を行う場合の条件は未定だとの声明を発表した。

各種メディアの報道によると、暫定的な買収提示額は1株当たり40ユーロ強。総額は70億ユーロを超え、ドイツ企業を対象とする買収で今年最大となる。K+Sの経営陣が提案受け入れを拒否した場合は、敵対的な買収に踏み切るとみられている。

ポタシュのカリ生産量は昨年880万トンで、ロシアのウラルカリ(同1,210万トン)、ベラルーシのベラルーシカリ(1,030万トン)に次ぐ3位に付けている。K+Sは570万トンで5位。ポタシュがK+Sを買収すると1,450万トン(市場シェア8%強)に拡大し、世界最大手に浮上する(下のグラフ参照)。ポタシュの売上高は約54億ユーロ、K+Sは同38億ユーロで、合計すると92億ユーロに達する。

肥料業界では近年、M&Aの動きが活発化している。世界の人口増加に伴う農産物需要の拡大を背景に肥料市場が長期的に拡大すると見込まれるためで、ウラルカリは2010年、露シルヴィニトを買収。当時1位のポタシュを抜いてカリ生産トップに躍り出た(下の表を参照)。

ポタシュはK+Sを買収すると、規模のメリットを引き出せるほか、欧州、南米事業を強化できる。K+Sがカナダのサスカチュワン州に持つ塩化カリウム鉱山を取得できることも大きい。

K+Sは11年、カナダの鉱山会社ポタシュ・ワンを3億1,000万ユーロで買収し、同鉱山の採掘権を取得した。16年から操業を開始する予定で、17年に200万トンを採掘。その後、徐々に引き上げていき年産300万トン体制とする計画だ。埋蔵量は1億6,000万トンで、少なくとも55年間、採掘できる。

ポタシュの買収打診を受けて、K+Sの地元ヘッセン州のブフィエ首相は同社を全面支援する意向を表明した。ポタシュが買収実現後にK+Sの独鉱山を廃止し、雇用が失われることを警戒している。ポタシュの採掘コストが1トン当たり80ドルにとどまるのに対し、K+Sのドイツでの同コストは約2倍の150ユーロに上る。