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2015/7/8

ゲシェフトフューラーの豆知識

昼食で外出時に怪我、労災が適用されないことも

この記事の要約

通勤途中にケガをした場合は労働災害と認定され、労災保険が給付される。この原則は昼食で会社の外に出た際のケガにも適用されるが、場合によっては適用されないことがある。ヘッセン州社会裁判所が3月に下した判決(訴訟番号:L 3 […]

通勤途中にケガをした場合は労働災害と認定され、労災保険が給付される。この原則は昼食で会社の外に出た際のケガにも適用されるが、場合によっては適用されないことがある。ヘッセン州社会裁判所が3月に下した判決(訴訟番号:L 3 U 225/10)でそんな判断を示したので、ここで取り上げてみる。

裁判はフランクフルトの中心部で働く秘書が労災機関を相手取って起こしたもの。同秘書は昼休みにハウプトヴァッヘ駅の地下に下りる階段で転倒し、せき髄を損傷したため、労裁認定を申請した。

これに対し被告労災機関は、同秘書が地下に下りたのはクリーニング屋から衣服を引き取るためであり、昼食をとるためではなかったとして、申請を却下した。

同秘書は、クリーニング店の隣にあるファーストフード店で食事を取ることが地下に下りた理由だと主張。労災機関の決定を不当として提訴した。

2審のヘッセン州社会裁は原告が地下に下りた目的を明確化するために、審理で本人のほか、証人の証言も聴取。ファーストフード店で食事をすることが目的だとする原告の主張は証明できなかったとして、原告敗訴を言い渡した。最高裁への上告は認めなかった。