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2015/8/26

経済産業情報

住宅不足が深刻に、ベルリンでは年1万件以上に

この記事の要約

財界系シンクタンクのIWドイツ経済研究所は19日、国内の住宅不足が深刻化する見通しを明らかにした。新築件数は大幅に増えているものの、なおも需要に追いついていないためだ。人口が急速に増える大都市部で問題が大きい。 昨年の住 […]

財界系シンクタンクのIWドイツ経済研究所は19日、国内の住宅不足が深刻化する見通しを明らかにした。新築件数は大幅に増えているものの、なおも需要に追いついていないためだ。人口が急速に増える大都市部で問題が大きい。

昨年の住宅完工件数は前年比13%増の24万5,000件に拡大した。2010年に比べると増加幅は54%に達する。だが、IWによると、実際に必要な件数は26万6,000件で、約2万件が足りない状況だ。

人口10万人未満の都市・農村では新築件数が需要を上回る供給過剰に陥っている。一方、10万人以上の都市では合計の需要が年10万2,000件に上るのに対し、昨年の新築件数は6万6,000件にとどまった。

不足数が最も多いのは首都ベルリンで、昨年の新築件数は8,744件で、実際に必要な件数(年1万9,6550件)を1万911件も下回った。これにミュンヘン(不足数6,747件)、ハンブルク(3,450件)、ケルン(2,345件)、フランクフルト(1,799件)が続く。デュッセルドルフは不足が382件と少なく需給がほぼ釣り合っている。

大都市部で住宅不足が深刻化している背景には、移民が急速に増えていることがある。移民は求人が多く地域住民との摩擦も起きにくい都市部に集中する。

ドイツ人も娯楽環境が整い買い物も便利な大都市に引き寄せられる。

IWは大都市の住宅不足は地価の高騰で用地が不足していることに原因があると指摘。問題を解消するためには◇利用していない産業用地を自治体が住宅用地に切り替える◇建造物の高さなど建築規制を緩和する◇交通インフラを整備し人口希薄地帯を大都市の生活圏に組み込む――と言った措置が必要だとしている。