スイスの重電大手ABB(チューリヒ)は9日、組織再編計画を発表した。業績不振を受けた措置で、これまでの5部門体制を顧客企業のニーズを踏まえて来年1月1日付で4部門体制へと変更。最大の事業である送配電向け製品については他社との合弁化や売却も排除しない考えだ。
同社はこれまで事業を設備や電子製品を過負荷から守るスイッチ、制御製品などの「低電圧機器」、工業生産性とエネルギーの効率化を向上させる製品「オートメーション・モーション」、プラントの制御や最適化を顧客に提供する「プロセスオートメーション」、送配電のための主要な設備「パワープロダクト」、送配電網や発電所のためのパッケージシステムとサービスを提供する「パワーシステム」の5部門に編成してきた。来年からは「送配電向け製品」と低・中電圧製品を取り扱う「電化製品」の2部門を新設し、これまでの5部門のうち3部門を統合する。オートメーション・モーションとプロセスオートメーションは現在の体制に据え置く。
送配電向け製品事業はABBの売上高(400億ドル)の30%以上(126億ドル)を占めており、同社はこの分野で世界最大手となっている。だが、収益力が低く、株主から批判が出ており、経営陣は合弁会社への移管など戦略的な措置の検討に入った。
ABBはまた、コスト削減の拡大方針も明らかにした。石油安や新興国の景気減速を受けて業績が圧迫されているためで、管理部門のコストを2017年末までに10億ユーロ圧縮する。国外の周辺事業からも撤退する意向だ。
15~20年の売上成長率については従来予測の年4~7%から同3~6%へと引き下げた。