製薬大手の独メルク(ダルムシュタット)は11日、開発中の多発性硬化症(MS)治療薬「クラドリビン」の承認申請を行う意向を欧州医薬品審査庁(EMA)に伝えたと発表した。同薬に対しては欧米の医薬品当局が否定的な見解を表明したため、同社は2011年、承認申請を取り下げたが、その後の治験などで良好な結果が出たことから再申請に踏み切る。世界の他の地域でも申請を行う考えだ。
クラドリビンは経口投与タイプのMS治療薬。従来の治療薬と異なり注射の必要がないため患者のメリットは大きく、年商10億ユーロ超の医薬品(ブラックバスター)候補と目されていた。
だが、FDAが発がん性があると懸念を表明するなど、認可当局の評価は否定的で、メルクは承認申請の撤回を余儀なくされた。その後に実施した治験、およびリスクと効用に関する分析で同社は承認を得られると判断。新たな申請に踏み切る。