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2015/11/25

経済産業情報

「排ガスソフトを監査会社は検査できず」、テュフ社長が政府批判

この記事の要約

自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW)による大規模な排ガス不正が長期間発覚しなかったのは、型式認定を行う技術監査会社にエンジン制御用ソフトウエアの検査が法的に認められていないためだとの見解を、独技術監査大手テュフ・ノル […]

自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW)による大規模な排ガス不正が長期間発覚しなかったのは、型式認定を行う技術監査会社にエンジン制御用ソフトウエアの検査が法的に認められていないためだとの見解を、独技術監査大手テュフ・ノルトのギド・レッティヒ社長が『ヴェルト』紙に示した。技術監査会社に対しては自動車メーカーから型式認定を受注するために甘めの検査を行い、不正を見逃してきたとの批判があったが、同社長は明確に否定。責任は自動車メーカーと政府にあると反論した。

レッティヒ社長によると、技術監査業界は型式認定の検査対象にエンジン制御ソフトも加えるよう以前から政府に要求していた。これに対し自動車業界は、同ソフトは企業秘密であり監査会社であっても中身を見せることはできないと拒否。自動車業界のこうした主張を監督官庁が受け入れているため、監査会社は何もできない状況に置かれているという。

走行テストを実際の走行に近いものに改めるべきだとする監査業界の要求に対しても、自動車業界は「監査業界は(検査方式を改めることで)お金をより多く儲けたいだけだ」と暗に批判。この結果、問題の多い従来の検査方式は規制に関する欧州連合(EU)とドイツの委員会で改正されずにきたという。

これに対し独連邦交通省の広報担当者は23日、二酸化炭素(CO2)排出量の測定はエンジン制御ソフトと関係がないと反論。「我々はVWの虚偽のCO2排出値をテュフがなぜチェックできなかったのかを知りたい」と述べ、不快感を示した。同省が24日に開催する排ガス不正問題の調査委員会にテュフ・ノルトの関係者を召喚するとしている。

VWではディーゼル車の窒素酸化物(NOx)排出量を違法なソフトを使って操作していたことが9月に発覚。その後の内部調査で燃費とCO2排出値の不正も明らかになった。