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2015/11/18

ゲシェフトフューラーの豆知識

労働者と職員の企業年金、異なった取扱は差別か

この記事の要約

ドイツでは労働者(Arbeiter)と職員(Angestellter)が職業身分上、明確に区別されており、給与体系などの面で異なった取り扱いを受ける。では企業年金の支給でも労働者と職員とで取り扱いを区別することは法的に認 […]

ドイツでは労働者(Arbeiter)と職員(Angestellter)が職業身分上、明確に区別されており、給与体系などの面で異なった取り扱いを受ける。では企業年金の支給でも労働者と職員とで取り扱いを区別することは法的に認められるのだろうか。それとも不当な差別に当たるのだろうか。この問題をめぐる係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が10日に判決(訴訟番号:3 AZR 575/14)を下したので、ここで取り上げてみる。

裁判は自動車修理工が退職後に元の勤務先企業を相手取って起こしたもの。同社の企業年金は21の給付グループに分かれており、グループの数字が高いほど年金支給額も高くなる仕組みとなっている。被用者をどの給付グループに割り当てるかは、職員では人事の職務等級に基づいて、労働者では賃金水準に基づいて行われる。

原告は給付グループ10に割り当てられていたが、これを不服として提訴した。自分と同等の給与水準の職員はグループ11に割り当てられており、被用者の平等待遇を定めた事業所体制法(BetrVG)75条の規定に抵触すると批判。自らをグループ11にランクアップすることを要求した。

原告は1、2審で敗訴し、最終審のBAGも下級審判決を支持した。判決理由で裁判官は、客観的に妥当な根拠があれば労働者と職員を区別して取り扱うことはBetrVG75条に違反しないと指摘。被告企業では給与水準が同等であれば労働者と職員がほぼ同じ給付グループに割り当てられており、問題はないとの判断を示した。

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