スイスの食品大手ネスレは11月23日、タイのサプライヤーが劣悪な環境で漁船労働者を働かせている現状の是正に向けて対策を取ると発表した。同社に対しては、そうした実態を知りながら違法なサプライヤーからキャットフードの原料となる魚を調達しているとして米国で集団訴訟が発生。これを受けて非政府組織(NGO)ヴェリテに実態調査を委託したところ、奴隷労働の事実が明らかになったため、サプライヤー網への働きかけを通して漁船労働者の待遇改善を実現していく。
ネスレはタイの食品会社タイユニオン・フローズンプロダクツからキャットフード「ファンシー・フィースト」の原料となる魚を調達。これを受けて米国の消費者が8月に集団訴訟を起こした。
タイの水産業界では甘言をろうして周辺諸国で労働者を募集し、トロール漁船で奴隷労働を強いるといった問題が横行している。賃金は極端に低く、暴行も日常的で、児童労働は珍しくない。