「富める者がますます豊かになり中間層から貧困層に転落する人は増加する」としたフランスの経済学者トマ・ピケティ氏の理論はドイツに当てはまらない――。与党・キリスト教民主同盟(CDU)系のシンクタンク、コンラート・アデナウアー財団は14日公開した調査レポートでそんな結論を示し、注目を集めている。
同財団は所得の中央値の60~200%の範囲に入る市民を中間層と定義した。200%超は富裕層、60%未満は貧困層となる。
これに基づくと、2012年の人口に占める中間層の割合は78%で、07年と同水準にとどまった。富裕層と貧困層でも割合に変化がない。
一方、ドイツ全体の個人資産(純資産ベース)に占める中間層の割合は07年の65%から68%へと拡大。富裕層は同32%から29%へと縮小した。07年と12年の間にはリーマンショック(08年9月)に伴う金融・経済危機があったが、中間層が受けた影響は比較的小さいもようだ。
純資産の平均額をみても、富裕層で07年の33万8,721ユーロから28万6,839ユーロへと15%も減少したのに対し、中間層では0.7%減の7万2,721ユーロとほぼ同水準を保っており、中間層の貧困化は確認できない。