従業員の社内代表機関である事業所委員会(Betriebsrat)と雇用主は信頼関係に基づいて協働しなければならない。これは事業所体制法(BetrVG)2条1項に記されたルールである。このルールに絡む係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が昨年9月に決定(訴訟番号:7 ABR 69/13)を下したので、ここで取り上げてみる。
裁判はブレーメン市にある清掃・ごみ処理会社(以下A社)の事業所委員長が同社を相手取って起こしたもの。A社には親会社(以下B社)があり、原告はB社のグループ全体の事業所委員も兼任している。
A社は2011年、派遣社員投入に関する取り決めを事業所委員会との間で行った。事業所委員長はこの合意内容をB社グループの全従業員に電子メールで送信した。グループ各社の事業所委員の参考になると考えたためである。
これに対しA社は、同メールの送信によりBetrVG2条1項に抵触したとして事業所委員長を警告処分とした。また、同様の行為を今後も繰り返した場合は、事業所委員としての資格はく奪を申請するとともに、解雇すると脅した。
原告はこれを受けて提訴。処分の不当性の確認を求めるとともにその取り消しを要求した。
下級審は原告の訴えを認め、最高裁のBAGも下級審の判断を支持した。決定理由でBAGの裁判官は、A社での合意内容をグループ全体の全従業員に送付したことがBetrVG2条1項に抵触するかどうかは定かでないと指摘。原告に対する警告処分は誤った評価に基づいており、原告はその取り消しを要求できるとの判断を示した。