シェールガス採掘が禁止に、法案可決

ドイツ連邦議会(下院)は24日、非在来型天然ガスの採掘に関する法案を与党の賛成多数で可決した。同国で1960年代から行われているタイトガスの採掘は条件付で引き続き認めるものの、頁岩(シェール)層に貯留する天然ガス(シェールガス)をフラッキングという手法で採掘することについては研究目的を除いて禁止するという内容。政府法案ではシェールガス採掘が厳しい条件付きで認められていたが、これに対する批判を受けて与党のキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)と社会民主党(SPD)は法案を修正して可決した。同法案は州政府の代表で構成される連邦参議院(上院)の承認を必要としないため、成立する見通しだ。

ドイツにはこれまで非在来型天然ガスの採掘に関する法案がなかった。だが、化学物質と砂を混ぜた水を高圧で地中に注入してシェール層に割れ目(フラクチャー)を作り、内部にあるガスを抽出するフラッキングという採掘方法が北米で確立。同地のガス価格が低下し、産業競争力が高まりつつあることから、ドイツでも法整備の必要が出ていた。

ただ、地下水汚染などを引き起こす懸念があることから、国内には批判的な声が強く、フラッキングの解禁を盛り込んだ政府法案は修正され、研究目的を除いて禁止されることになった。

また、研究目的でも採掘地の州の承認を得なければならないうえ、承認が下りれば地域住民が反発するのは確実であることから、実現の可能性はほとんどないとみられる。

シェールガスの商業採掘禁止条項については、最新の科学技術動向を踏まえて2021年に再検討することになっている。ただ、同年は連邦議会選挙が行われる見通しであるため、市民の多くが反対するシェールガス採掘に議会がゴーサインを出す可能性は低い。

砂岩層に含まれる天然ガス(タイトガス)の採掘は水源保護地域を除いて認められる。

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