ABB―高圧電力ケーブル事業を売却―

スイスの重電大手ABB(チューリヒ)は21日、高圧電力ケーブル事業をデンマークのNKTケーブルに売却すると発表した。経営改善に向けた事業再編の一環で、売却額は8億3,600万ユーロに上る。

ABBは業績悪化を受けて合理化を進めており、今年1月から5部門体制を4部門体制にした。送配電部門は構造が複雑なことから、株主から分離を求める声が強まっており、同社も昨年9月に再編の意向を表明していた。

売却する高圧電力ケーブル事業は送配電部門の一部で、2015年の売上高は5億2,400万ドル。同売上高が116億ドルに上る送配電部門の中では小規模な事業だ。ABBは欧州で風力発電施設の建設ラッシュが下火となっていることなどから、多額の投資が必要となる割に収益が不安定な同事業の売却を決めた。

ABBは10月4日に送配電部門見直しの進展状況を報告することになっている。市場では高圧電力ケーブル事業売却について、同部門のスリム化を強調することで、株主が求める分離を回避する意図があるとの見方も出ている。

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