「レベル3の自動運転車は5年以内に実用化」=AI専門家

独人工知能研究センター(DFKI)のヴォルフガング・ヴァールスター教授はdpa通信のインタビューで、システムが要請したとき以外はドライバーが運転に関与しないレベル3の自動運転車が5年以内にドイツで実用化されるとの見通しを明らかにした。加速・操舵・制動にドライバーがまったく関与しないレベル4(完全自動運転)に関しては、当局の許可と市民の受容に時間がかかると指摘。実用化は早くても10年後になるとの予想を示した。

DKFIは自動運転分野で現在、緊急時やシステムの限界時に自動からマニュアル運転への切り替えをシステムが要請する際の問題と、天候や日照状況によって走行環境が異なるなかで車両に搭載されたセンサーのどれを優先すべきかとう問題に、重点テーマとして取り組んでいる。

マニュアル運転への切り替えをシステムが要請する場合、ドライバーが読書や睡眠で即座に反応できないと大きな事故につながる恐れがある。ヴァールスター教授はこれについて「極端なケースではサービスセンターに待機しているプロのドライバーが遠隔操作で車両をコントロールしなければならない」と回答した。

車載センサーのセンシングにはレーザー、レーダー、カメラ、超音波が用いられている。それぞれに強みと弱みを持っており、一刻一刻変化する状況に応じて最適のセンサーをシステムが判断し優先順位を決めなければならない。これについては「ソフトシステムは自らの正しい状況判断と誤った判断を通して学習していくことになる」と指摘。「これは極めて難しい課題だ」と述べた。

ヴァールスター教授はまた、自動運転技術の研究でドイツは世界をリードしているとの見方を示した。ただ、ドイツの認可当局は米国の当局に比べ同技術を厳格かつ批判的に吟味すると指摘。また、独メーカーも市場での高い評価に傷をつけないために、未成熟の技術を量産市場に性急に投入することを避けると述べた。

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