EUが除草剤グリホサートの認可延長、独の賛成で承認成立

欧州連合(EU)加盟国は11月27日、発がん性が疑われる除草剤成分「グリホサート」の認可期間を5年延長する案を承認した。英国などが認可延長を支持する一方、フランスやイタリアなどが強硬に反対し、加盟国間でこれまで意見調整がつかなかったが、最終的にドイツが賛成票を投じたことでようやく決着がついた。

グリホサートは米農薬大手モンサントの除草剤「ラウンドアップ」の主成分。欧米では40年以上前から広く使用されているが、世界保健機関(WHO)の国際がん研究機関(IARC)は2015年、発がん性の恐れがあるとする報告書を公表した。しかし、WHOと国連食糧農業機関(FAO)の合同専門委員会は同年、食物摂取を通じた曝露による発がんリスクは「恐らくない」との結論をまとめており、国際機関の間で安全性に関する評価が分かれている。

欧州委員会は当初、10年間の認可延長を提案していたが、グリホサートの安全性を懸念する欧州議会は10月、新たな認可期間を5年とし、22年以降は域内での使用を禁止する決議を採択した。これを受けて欧州委は5年の認可延長を勧告したが、先月末の会合では支持派が14カ国にとどまり、特定多数での承認を得ることができなかった。今回はドイツを含む18カ国が欧州委の提案を支持。9カ国が反対を表明し、棄権は1カ国だった。

ドイツでは社会民主党(SPD)のヘンドリクス環境相が認可延長に強く反対していたが、最終的にメルケル首相率いるキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)のシュミット農相が賛成票を投じた。メルケル首相は4期目の政権樹立に向けた連立交渉が決裂したのを受け、SPDのシュルツ党首に大連立政権の継続に向けて交渉に入りたい考えだが、ヘンドリクス氏は「信頼関係を築こうとする相手に対するふるまいではない」と述べ、CDU/CSUの対応を批判した。

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