独鉄鋼2位のザルツギターは16日の決算発表で、米トランプ政権が打ち出した鉄鋼・アルミニウムに対する高関税政策を受けて低価格製品が欧州市場に大量流入することに警戒感を示した。ハインツ・イェルク・フールマン社長は警戒すべき国として韓国、インド、トルコ、ウクライナを指摘。特定の国ないしメーカーの製品を対象に欧州連合(EU)は輸入制限を行うべきだとの立場を明らかにした。
同社の対米輸出量は昨年15万トンと少なく、米国売上高も1億5,000万ユーロにとどまった。このためトランプ政権が導入する鉄鋼関税の直接的な影響は小さい。
だが、これまで米国向けに輸出されてきた韓国製品などが欧州に大量流入すると市場は過剰供給へと陥り、欧州メーカーは大きな打撃を受けることになる。独鉄鋼業界団体シュタールのハンス・ユルゲン・ケルクホフ会長はEUの輸入量が40%(1,300万トン強)増える恐れがあるとしている。
ザルツギターの2017年12月期の税引き前利益は前期(5,300万ユーロ)の4.5倍の2億3,800万ユーロとなり、国際金融危機が起きた08年以来の高水準へと達した。販売価格の回復が大きく、売上高も7.9%増の89億9,000万ユーロへと拡大。営業利益(EBIT)は約2.7倍の3億1,700万ユーロに達した。