フォルクスワーゲン(VW)の排ガス不正車を購入した顧客が車両を新車に交換することを求めている係争で、一審のハンブルク地方裁判所が原告の言い分を認める判決を下したことが15日、明らかになった。VWに対しては多くの顧客が同様の訴訟を起こしているものの、勝訴は珍しく注目を集めている。
裁判はVW「ティグアン」のディーゼル車を2015年に購入した消費者がディーラーを相手取って起こしたもの。原告はVWが不正の除去に向けて実施したリコール(無料の回収・修理)に応じた。これによりエンジン制御ソフトはアップデートされ、車両に違法性はなくなったものの、アップデートの結果、車両の消耗が激しくなる可能性を排除できないことから、販売店に車両を引き取って新車と交換することを要求。提訴した。
ハンブルク地裁は7日の判決で、アップデートに伴う消耗加速リスクの引き受けを原告に要求することはできないとして、新車への交換を被告ディーラーに命じた。
VWの排ガス不正車をめぐる裁判では新車への交換を命じる判決が数件、出されているものの、ソフトのアップデートを受けた車両で新車交換を命じたのは今回が初めて。
アップデート用のソフトは連邦陸運局(KBA)の承認を受けていることから、VWはソフトの入れ替えで問題は解決し補償義務は発生しないとの立場を取っている。同社の広報担当者はメディアの問い合わせに、ハンブルク地裁判決は控訴審で修正されるとの見方を示した。