ドイツのペーター・アルトマイヤー経済相は12日にベルリンで開催された液化天然ガス(LNG)に関する会議で、LNGターミナルは国内に少なくとも2カ所、建設されるとの見方を明らかにした。数週間以内に正式決定が下される見通しという。設置されれば同国初のLNGターミナルとなる。
ドイツでは現在、北部のヴィルヘルムスハーフェン、ブルンスビュッテル、シュターデの3カ所でLNGターミナルの建設が計画されており、このうちヴィルヘルムスハーフェンとブルンスビュッテルの施設は実現の可能性が大きいと目されている。ヴィルヘルムスハーフェンにはエネルギー大手の独ユニパーと商船三井が浮体式LNG貯蔵・再ガス化設備(FSRU)を設置し、2022年下半期から操業を開始する見通しだ。
ドイツは主にロシアと北海産の天然ガスをパイプラインで輸入している。このうちロシア産は地政学的なリスクが大きく、ポーランドなど東欧の欧州連合(EU)加盟国や米国から批判が出ている。北海産も将来的に産出量の減少が見込まれる。
LNGは相対的に価格が高く、パイプラインで安価な天然ガスを輸入する欧州では競争力がないとの見方があるものの、ドイツは再生可能エネルギー発電を大幅に拡大する一方で、原子力発電を22年、石炭火力発電を35~38年に全廃することから、今後20年間は天然ガスの需要が伸びる見通し。シェールガスの開発を積極的に進める米国が欧州へのLNG輸出に向けて外交圧力をかけていることもあり、ドイツはターミナル設置の方向へと動いている。アルトマイヤー経済相は会議で、国が建設補助金を交付することを明らかにした。
会議に参加した米エネルギー省のダン・ブルイエット副長官はドイツのLNGインフラ建設を歓迎すると述べた。また、米国産LNGは長期的にみてロシア、ノルウェー産天然ガスに対抗できると強調した。