大型商用車の排ガス30%削減で欧州議と加盟国が合意

欧州連合(EU)の欧州議会と加盟国は19日、域内で販売されるトラックやバスなど大型商用車の二酸化炭素(CO2)排出量を2030年までに19年比で30%削減する規制案の内容で基本合意した。EUが大型商用車の排ガス規制に乗り出すのは初めて。欧州議会と閣僚理事会の正式な承認を経て新ルールを導入する。

EUは地球温暖化対策の国際的枠組みである「パリ協定」の下で30年までに域内の温室効果ガス排出量を90年比で少なくとも40%削減すると公約しており、新規制は目標達成に向けた取り組みの一環。EUでは08年から乗用車と小型商用車(バン)の排ガス規制を実施しているが、大型商用車は用途によって形状やサイズなどが異なるため、画一的なルールの適用が難しいとしてこれまで法制化が見送られてきた。

規制案は中間目標を設定しており、トラックやバスのメーカーは25年までに19年比で平均15%の排出削減が求められる。削減目標には法的拘束力があり、達成できなかったメーカーには制裁金を科す。

EU議長国ルーマニアのガブリレスク副首相兼環境相は「重量車に対する初のCO2排出規制が導入され、EUの環境規制で足りなかった部分が補完される。パリ協定に基づく温室効果ガス削減目標の達成に向けて弾みがつく」と述べた。

一方、欧州自動車工業会(ACEA)は声明で、欧州では「電気トラックや水素トラックに対応したインフラ設備がまったく整備されていない」と強調。大型商用車の電動化が進んだとしても、「運送業者がゼロ排出車を購入したいと考えるかは疑問だ」と指摘し、規制を厳格化して自動車メーカーに対応を迫るだけでは環境対応車の普及は進まないとの考えを示した。

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