技術監査大手の独テュフ・ラインラント(ケルン)がサイバーセキュリティ事業を強化する。IoT社会の進展に伴い企業のニーズが高まっているにも関わらず、同分野のサービスが不足しているためだ。ミヒャエル・フュービ社長は4月16日、デジタルセキュリティの需要はますます増えていると述べ、市場の掘り起こしに意欲を示した。
IoT社会では家電や機械などがネットワークでつながることから、サイバー攻撃の標的になる。ノルウェーのアルミ大手ノルスク・ハイドロは先ごろ、身代金要求型のサイバー攻撃を受け生産の部分停止を余儀なくされた。ネットワークにつながる機械や設備を持つ企業にとって他人事ではなく、テュフ・ラインラントには対策を求めるメーカーの問い合わせが増えている。工業ガス大手リンデは現在、工場セキュリティの向上に向けたコンサルティングを同社から受けているところだ。
ネット接続で利用するスマート家電分野ではサイバーセキュリティ認証の需要が大きい。テュフ・ラインラントは最近、人が在室しているかをセンサーで感知し不在の場合は自動消灯するスマート電球の製造元である英グーイー(Gooee)向けにサイバーセキュリティ認証を行った。
テュフ・ラインラントはこのほか、自動運転のデータ保護分野でもプロジェクトを行っている。
デジタル転換・サイバーセキュリティ事業の売上高は昨年1億2,000万ユーロで、同社売上全体の6%にとどまった。フュービ社長は中期的に同割合が20%に急拡大するとの予想を述べた。事業の成長をにらんで、ドイツ国内のサイバーセキュリティ要員を現在の600人からとりあえず700人に増やす意向だ。