通信速度が現行規格の100倍に上り遅延性も極めて低い5Gはドイツ経済にとって決定的に重要だと考えるメーカーが極めて多い一方で、自社にとって重要だと考えるメーカーは比較的少ないことが、情報通信業界連盟(Bitkom)が実施したアンケート調査で分かった。Bitkomのアッヒム・ベルク会長は「5Gの課題に現在、取り組まない企業は将来の事業を危機にさらすことになる」と警鐘を鳴らした。
Bitkomは従業員数50人以上の独メーカー505社を対象にアンケートを行った。それによると、「5Gはインダストリー4.0用のソフトやロボットの利用を促進する」との回答は93%に達した。「5Gは独企業の生産性を大幅に引き上げる」と「5Gはドイツ企業が将来、世界で成功するかどうかを決定する重要な技術だ」もそれぞれ84%、73%に上り、「5Gがなくてもドイツ経済は競争力を失わない」は23%にとどまった。メーカーの大部分は5Gがドイツの経済競争力を保つうえで決定的に重要と考えていることが分かる。
一方、「5Gは御社にって重要ですか」との質問では「はい」と「いいえ」がともに49%となった。「はい」は従業員2,000人以上の企業で66%に上ったのに対し、50~99人の企業では41%にとどまっており、規模の小さな企業ほど5Gを「他人事」と考えていることがうかがわれる。これを反映し、5G利用を「計画ないし検討している」企業は42%で、「検討も計画もしていない」企業(55%)を13ポイント下回った。
5G利用を計画・検討する企業(209社)に「どの分野での利用を考えていますか」と質問したところ、回答が最も多かったのは「生産設備のネットワーク化」で54%に上った。これに「拡張現実(AR)やバーチャルリアリティ(VR)などのアシストシステム」(50%)、「機械間のリアルタイム通信」(49%)、「自動運転車と自動輸送システム」(39%)、「モバイルロボット」(31%)が続いた。
5G利用を検討も計画もしていない企業(276社)にその理由を質問したところ、「他の技術を利用するため」との回答が最も多く70%に上った。2位は僅差で「無線LANを利用するため」(69%)が続いた。「5Gに付加価値を見出せないため」も57%と過半数に上る。「予算がないため」は32%だった。
「世界的にみたドイツの5G通信網構築の進捗度」に関しては「極めて遅れている」が22%、「遅れている」が36%に上り、過半数(58%)が同国の後進性を認識。「中位グループ」」は36%で、「トップグループ」は2%にとどまった。