独銀最大手のドイツ銀行(フランクフルト)が4月29日発表した2020年第1四半期(1~3月)の純損益は4,300万ユーロの赤字となり、前年同期の黒字(9,700万ユーロ)から悪化した。貸倒引当金の計上と劣後債の利払いが響いた格好。税引き前ベースでは29%の減益となったものの2億600万ユーロの利益を計上した。
貸倒引当金は前年同期の1億4,000万ユーロから5億600万ユーロへと膨らんだ。新型コロナ危機に伴うものはそのうち約2億6,000万ユーロを占める。
税引き前利益を部門別でみると、投資銀行部門は149%増の6億2,200万ユーロへと大きく拡大した。債券・通貨取引が特に好調だった。資産運用部門も14%増の1億1,000万ユーロと増益を確保している。企業向け部門は54%減の1億3,200万ユーロ、個人顧客向け部門は38%減の1億3200万ユーロと振るわなかった。
3月末時点の狭義の中核自己資本比率(CET1比率)は12.8%で、前年同日の13.7%から0.9ポイント低下した。そのうち約0.3ポイントは証券化規制の変更、約0.4ポイントは新型コロナ危機、約0.1ポイントは事業の拡大によると説明している。
一方、従業員宛ての文書をもとに『フランクフルター・アルゲマイネ』紙が報じたところによると、ドイツ銀は個人顧客の預金にマイナス金利を適用することを計画している。歴史的な低金利を受けた措置で、10万ユーロ以上の預金に5月18日から0.5%のマイナス金利を課す。対象となるのは新規顧客で、既存顧客には適用しない。