テレフォニカ―独法人が5G基幹回線網から華為排除―

スペイン電気通信大手テレフォニカの独法人テレフォニカ・ドイチュラント(ミュンヘン)は2日、次世代移動通信5Gの基幹回線網(コアネットワーク)にスウェーデン通信機器大手エリクソンの技術を採用すると発表した。名指しはしていないものの、中国の華為技術を基幹回線から排除したことになる。5Gインフラへの中国製品投入に高いハードルを課す方向でドイツ政府が法案を作成していることが背景にあるとみられる。テレフォニカ・ドイチュラントのマルクス・ハース社長は「ドイツで最も多くの人々を無線でつなぐ通信網運営事業者として、わが社にはより安全なデジタルネットワーク化に対する特別な社会的責任がある」と述べ、欧州メーカーであるエリクソンの製品は安全性が高いとの認識を示唆した。

同社は昨年12月、通信網の末端に当たる無線アクセスネットワークの構築に華為とノキアの製品を投入することを明らかにした。その際、交換機間を結ぶ大容量の基幹回線網にどのメーカーの製品を採用するかについては今年、決定する見通しを示していた。

ドイツ政府は現在、5Gを念頭に置いたITセキュリティ法案の策定に向け省庁間の調整を行っている。内務省が作成した同法案の原案には、中国政府と関係が深い華為などの同国通信設備メーカーを念頭に、5Gインフラメーカーを技術面だけでなく、非技術面からも評価するルールが盛り込まれている。具体的には参入希望メーカー自体の信頼性を調査。これらのメーカーにスパイや破壊工作に利用できる装置(バックドア)が製品に組み込まれていないことを確約させる。信頼性調査には中国製品の投入に警鐘を鳴らす連邦情報局(BND)が関与することから、基幹回線網に華為など中国勢の製品を採用することは通信事業者にとって大きなリスクとなる。

テレフォニカの競合である英ボーダフォンは2月、欧州の基幹回線網か華為の製品を排除することを明らかにした。ドイツテレコムも同様の歩調を取っており、独市場の3大プレイヤーはすべて、華為の技術を5G基幹回線に採用しないことになる。

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