新型コロナウイルスの感染拡大を受けて貯蓄率が上昇している。独連邦銀行(中央銀行)によると、今年第1四半期(1~3月)は16.7%となり、前期(昨年10~12月)の9.7%から7ポイント上昇した。コメルツ銀行は、第2四半期(4~6月)には最大20%に達すると予想している。
貯蓄率が高まった原因のひとつは小売店やレストランの営業や旅行・余暇活動の制限を受けて消費の機会が減っていることにある。ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)が同国の消費者を対象に実施した3月末のアンケート調査によると、「外食と余暇の出費が減った」との回答は92%に達した。「旅行費用が減った」と「小売店での消費額が減った」もそれぞれ82%、62%と多い。
失業や操短懸念から支出を控えたり、感染リスクを恐れてショッピングを見合わせる消費者も多い。BCGが4月中旬に行ったアンケート調査では、「(営業制限が緩和される4月20日以降に)ショッピングを増やす」との回答が25%未満にとどまった。
政府・与党は3日、消費を喚起するために付加価値税率を7月から半年間、引き下げることを取り決めた。このチャンスを消費者がどの程度、利用するかが景気回復の大きなカギを握ることになる。