ドイツ政府は12日の閣議で車両税改正法案を了承した。国内の二酸化炭素(CO2)排出量を2030年までに1990年比で最低55%削減するという政府目標実現に向けた措置の一環として、車両のCO2排出量が多ければ多いほど税額を引き上げる意向だ。議会の可決を経て来年1月1日付で施行する。
政府は昨年9月、CO2排出削減目標の実現に向けた包括計画「温暖化防止プログラム2030」を閣議決定した。交通部門では排出量を40~42%引き下げる目標を掲げている。これを達成するためにはCO2排出量の多い車両を減らし環境対応車を増やす必要があることから、政府は車両税の改正を通して環境負荷の少ない車両の購入を消費者などに促していく。
車両税の額は動力源の種類と排気量の大きさ、およびCO2の排出量に基づいて決定される。排気量に基づく課税部分は100立方センチメートル(ccm)当たりガソリン車で2ユーロ、ディーゼル車で9.5ユーロ。CO2排出量に基づく課税部分は走行1キロメートル当たりの排出量が95グラム以下であれば非課税で、それを超えると1グラム当たり一律2ユーロが課される。排気量1,000ccm、CO2排出量135グラムのガソリン車であれば税額は100ユーロ(排気量部分が20ユーロ、CO2排出量部分が80ユーロ)となる。
政府はCO2排出量に基づく課税部分を改正する方向で法案を作成した。CO2排出量が多ければ多いほど、1グラム当たりの課税額が高くなるという累進型の税体系へと改める考え。排出量95グラム以下は非課税、同95~115グラムは2ユーロとする現行ルールを据え置くものの、115グラム超の車両では税額を引き上げる。法案には115~135グラムで2.2ユーロ、135~155グラムで2.5ユーロ、155~175グラムで2.9ユーロ、175~195グラムで3.4ユーロ、195グラム超で4ユーロとすることが明記されている。195グラム超の車両ではCO2排出量に基づく課税部分の負担が現在の2ユーロから倍増することになる。
電動車の普及促進に向けては電気自動車(EV)の車両税免除対象を拡大する。現行法では免除対象が今年末までに新車登録する車両に限られているが、これを同25年末までへと拡大する。
CO2排出量が比較的少ない内燃機関車の販売も促進する。内燃機関車に比べて割高な電動車を購入できない世帯が多いことなどを踏まえた措置で、CO2排出量95グラム以下の新車を対象に車両税額を30ユーロ引き下げる。期限は25年末まで。今月12日から24年末までに購入した新車に適用される。