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2020/7/1

総合 - ドイツ経済ニュース

成長率は過去最低の-6.5%に、5賢人委が3月予測から大幅下方修正

この記事の要約

政府の経済諮問委員会(通称:5賢人委員会)は6月23日、ドイツの今年の国内総生産(GDP)予測を下方修正した。新型コロナウイルスが当初予想していたよりも大きな影響を世界経済にもたらしているうえ、感染拡大の防止に向けた同国 […]

政府の経済諮問委員会(通称:5賢人委員会)は6月23日、ドイツの今年の国内総生産(GDP)予測を下方修正した。新型コロナウイルスが当初予想していたよりも大きな影響を世界経済にもたらしているうえ、感染拡大の防止に向けた同国の取り組みも想定以上に長期化しているためだ。同委はGDPが物価調整後の実質で前年比6.5%減となり、マイナス成長幅が戦後最大になるとの予想を提示。同2.8%減とした前回予測(3月)を大幅に引き下げた。

5賢人委員会は3月末、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて作成した臨時レポートを公表した。新型コロナ問題がどのように推移するかを予想しにくいことから、最も可能性が高い「基本シナリオ」と「大幅なマイナス成長後にV字回復するシナリオ」、「景気低迷が長期化するシナリオ」の3パターンを想定した。

基本シナリオは景気回復が今夏に始まるというもの。今年のGDP成長率は上半期の景気後退が響いてマイナス2.8%となるものの、来年はプラス3.7%へと好転する。

V字回復シナリオはコロナ抑制の保健政策が長期化し生産も幅広い分野で停止されるものの、その後は急速に回復するというもの。このケースでは上半期の景気後退幅が大きいことから20年の成長率はマイナス5.4%と大きく落ち込むものの、21年はプラス4.9%と大幅成長となる。

「長期低迷シナリオ」は新型コロナの拡大抑制に向けた保健政策が夏以降も継続され、景気回復は21年にずれ込むというもの。この場合、経済構造が被る深刻な影響を政府の支援策で防ぐことができないため、融資条件や景気の先行き見通しが悪化し、投資と消費はともに抑制されることになる。20年の成長率はマイナス4.5%となり、マイナス成長幅はV字回復シナリオを下回るものの、21年はプラス1.0%と小幅回復にとどまる。

5賢人委が今回発表した新規予測ではマイナス成長幅(6.5%)が3月予測のすべてのシナリオを上回った。同委は声明で「パンデミックは当初想定していたよりも世界に強力に広がった。現在も部分的に続く感染防止策は思っていたよりも包括的だった」と指摘。この間に入手可能となった経済データのおかげで今年の経済状況をより適切に評価できるようになったと説明した。

20年GDP予測を項目別でみると、成長の足を特に強く引っ張るのは個人消費と設備投資、輸出だ。個人消費は3月中旬から実施されている営業制限、ショッピングに伴う感染リスク、失業・操短の増加を背景とする支出抑制が響いて5.5%減少する見通し。景気の先行き不透明感を受けて設備投資は19.3%減と急ブレーキがかかる。世界経済が失速していることから、輸出は14.5%減少する。

これまで低下してきた失業率も上昇へと転じる見通しで、今年は昨年の5.0%から6.1%へと拡大する。GDPが縮小するうえ、企業の倒産防止や資金繰り支援に巨額の国債を発行することから、今年の財政収支は9年ぶりに赤字へと転落する見通しで、5賢人委は財政赤字の対名目GDP比率が6.0%に達すると予想している。

ただ、景気は第2四半期(4~6月)を底に上向く見通しで、GDPは来年、実質4.9%増と大きく拡大。同委は早ければ22年にも新型コロナ危機前の水準を回復するとみている。政府の経済対策は景気を強く押し上げる。