Ifo経済研究所が6月24日発表した同月のドイツ企業景況感指数(2015年=100)は前月の79.7から86.2へと6.5ポイント上昇し、2カ月連続で大きく改善した。改善幅は過去最大。新型コロナ危機の底打ちが鮮明になっており、クレメンス・フュスト所長は「ドイツ経済はトンネルの出口で光が見えてきた状況だ」と述べた。
今後6カ月の見通しを示す期待指数が10.9ポイント増の91.4へと大幅に上昇し、全体が強く押し上げられた。同指数の改善は2カ月連続。直近のボトムである4月からの改善幅は21.9ポイントに上る。
現状判断を示す指数は81.3で、前月を2.4ポイント上回った。同指数の上昇は5カ月ぶり。
各部門の景況感指数(現状判断指数と期待指数=ともにDI=の中央値)をみると、製造業はマイナス22.9となり、前月のマイナス36.0を13.1ポイント上回った。期待指数が大幅に改善したことが大きい。ただ、現状については「悪い」と判断する企業が依然として圧倒的に多い。
サービス業の景況感指数も前月のマイナス21.0からマイナス6.0へと改善した。現状判断と期待指数がともに大きく上昇している。
現状判断と期待指数は流通業でも大幅に改善した。景況感指数はマイナス14.2で、前月のマイナス30.5からマイナス幅が縮小。最悪だった4月(マイナス48.4)からは34.2ポイント上昇した。
建設業の景況感指数はマイナス7.5となり、前月を4.8ポイント上回った。現状判断と期待指数がともにやや改善した。
エコノミストの間では、国内総生産(GDP)は第2四半期(4~6月)に大きく縮小するものの、その後は急速に回復するとの見方が有力だ。Ifoの研究員はロイター通信に、第3四半期(7~9月)は成長率が7%に達するとの予想を示した。
輸出見通しも2カ月連続で大幅改善
一方、Ifoが26日に発表した独製造業の6月の輸出期待指数(DI)は前月のマイナス26.7ポイントからマイナス2.3ポイントへと大幅に上昇し、上昇幅は2カ月連続で過去最高を更新した。DIがゼロに大きく近づいたことを受けて、クレメンス・フュスト所長は「ドイツ経済は地下室から抜け出そうとしている」と述べた。
Ifoは月例の企業景況感指数調査の一環でメーカー約2,300社を対象に今後3カ月の輸出見通しを質問。メーカーは「増加する」「横ばい」「減少する」のなかから1つを選んで回答する。「増加」回答の割合から「減少」回答の割合を引いた数が輸出期待指数となる。
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けて同指数は3月と4月に大幅に悪化。4月は過去最低のマイナス50.7ポイントを記録した。足元の欧州で感染拡大に歯止めがかかってきたことから、5月はすべての主要輸出産業で数値が好転。6月もこの傾向が続いた。
自動車と製薬業界では輸出の増加を見込む企業が減少を上回った。化学は増加と減少が同数。その他の業界は増加が減少を下回ったものの、DIは前月に比べ大きく改善している。