トレイトン―レンシュラー社長が退任―

自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW)は7日、商用車子会社トレイトンのアンドレアス・レンシュラー社長が15日付で退任すると発表した。理由は明らかにしていない。メディア報道によると、経営方針を巡る役員間の齟齬や人員削減に対する従業員の抵抗が背景にあるもようだ。後任にはマティアス・グリュントラー前財務担当取締役が就任する。

レンシュラー社長は競合ダイムラーの元商用車部門担当取締役で、2015年にVW商用者部門のトップに就任。VWの商用車ブランドを統合し、トレイトン設立(18年)と新規株式公開(19年)を主導してきた。

トレイトンでは独ブランドMANとスウェーデンブランドのスカニアの不和が当初から経営上の大きな問題となっていた。『フランクフルター・アルゲマイネ』紙によると、両ブランドの協業の緊密化策に関する論争でレンシュラー社長と一部の取締役との関係が悪化していたという。

MANの従業員削減方針が従業員の抵抗で具体化できないこともレンシュラー社長退任の一因となったもようだ。MANは今年初、従業員の6分の1に当たる6,000人を整理する方針を打ち出したが、従業員代表との交渉は足踏み状態に陥っている。

レンシュラー社長はVWグループのトラック・バス事業担当取締役からも退任する。後任にはVWグループのグンナール・キリアン人事担当取締役が兼任の形で就任する。

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