Ifo経済研究所が27日発表した7月のドイツ企業景況感指数(2015年=100)は前月の86.3から90.5へと4.2ポイント上昇し、3カ月連続で大きく改善した。新型コロナ危機からの回復が鮮明になっており、クレメンス・フュスト所長は「ドイツ経済は一歩一歩、改善している」と述べた。
今後6カ月の見通しを示す期待指数が5.4ポイント増の97.0と特に大きく上昇した。同指数の改善は3カ月連続。直近の底である4月からの改善幅は27.4ポイントに上る。
現状判断を示す指数も3.2ポイント増の81.3へと上昇した。同指数の改善は2カ月連続。
現状を「良い」と判断する企業の割合から「悪い」の割合を引いた数(DI)と、今後6カ月の見通しを「良い」とする割合から「悪い」の割合を引いた数(DI)の中央値はマイナス2.1となり、前月のマイナス11.3から大幅に改善した。最悪期の4月(マイナス37.5)に比べると35.4ポイント上昇している。
各部門の景況感指数(現状判断指数と期待指数=ともにDI=の中央値)をみると、製造業はマイナス12.0となり、前月のマイナス22.7を10.7ポイント上回った。期待指数と現状判断指数がともに上昇した。ただ、現状については「悪い」と判断する企業が依然として圧倒的に多い。工場稼働率は前月の70.4%から74.9%へと上昇したものの、長年の平均である83.5%を大幅に下回っている。
サービス業の景況感指数は前月のマイナス6.0からプラス2.0へと改善した。プラスの領域に入るのは新型コロナウイルス感染症が流行する直前の2月以来で、5カ月ぶり。現状判断と期待指数がともに大きく上昇した。
現状判断と期待指数は流通業でも大幅に改善した。同業界の景況感指数はマイナス5.2で、前月のマイナス14.2からマイナス幅が縮小。最悪だった4月(マイナス48.4)からは43.2ポイント上昇した。
建設業の景況感指数はマイナス2.4となり、前月を5.3ポイント上回った。現状判断と期待指数がともにやや改善した。
輸出見通し6カ月ぶりプラス転換
一方、Ifoが28日に発表した独製造業の7月の輸出期待指数(DI)は6.9ポイントとなり、前月のマイナス2.2ポイントから大幅に改善した。プラスの領域に入るのは6カ月ぶりで、最悪だった4月からの改善幅は57.2ポイントに達する。フュスト所長は「多くの国の経済の回復がドイツ経済にプラスに作用している」と述べた。
Ifoは月例の企業景況感指数調査の一環でメーカー約2,300社を対象に今後3カ月の輸出見通しを質問。メーカーは「増加する」「横ばい」「減少する」のなかから1つを選んで回答する。「増加」回答の割合から「減少」回答の割合を引いた数が輸出期待指数となる。
7月は新型コロナ危機の影響がこれまで特に大きかった自動車業界で輸出見通しが大幅に改善した。電機、化学も見通しが明るい。機械では悲観的な見方が大幅に減った。衣料品・革製品業界は厳しい状況が続いている。