「正方形の包装材は商標」、チョコ大手リッターが最高裁で勝訴

独チョコレート大手リッタースポーツの正方形の包装材を商標として認定した独特許・商標庁(DPMA)の決定は不当として米食品大手モンデリーズ・インターナショナルがその取り消しを求めて起こしていた裁判で、最高裁の独連邦司法裁判所(BGH)は23日、訴えを退ける決定を下した。これによりリッター以外の企業が正方形の包装材を板チョコに使用できないことが最終的に確定したことになる。

リッターは正方形の包装材入りの正方形の板チョコを戦前から販売している。同社はその包装材の2つのサイズを対象に1996年と2001年に商標権をそれぞれ取得した。

「ミルカ」ブランドで板チョコを展開するモンデリーズはこれを不当として、商標権の取り消しをDPMAに要求したが、拒否されたことから裁判に持ち込んだ。

独商標法(MarkenG)3条1項では、他社製品・サービスとの違いを明確化するのに適した言葉や文字、数字、音響、商品・包装材の形などが商標として保護されると定義されている。また、同2項では、形やその他の特徴がもっぱら(1)製品自体の性質から発生する(2)技術的な効果を達成するために必要(3)製品に本質的な価値を付与する――という3条件のいずれかを満たしている場合は商標とならないと明記されている。

一審の連邦特許裁判所は原告モンデリーズの訴えを認める決定を下した。決定理由で裁判官は、リッターの包装材の形状は板チョコが正方形であるという製品自体の性質に基づくものだと断定。商標法3条2項の規定に基づき、商標権の取り消しを命じた。

これを不服してリッターはBGHに上訴。BGHはリッターの包装材の形状は板チョコが正方形であるという製品の性質だけに基づくものではないとして、リッター勝訴を言い渡した。それと同時に裁判を連邦特許裁に差し戻し、リッターの包装材が製品にもっぱら本質的な価値を付与するに過ぎないかどうかを審理するよう命じた。他社製品との違いを明確化するのに適しているという要件を満たさず、製品に本質的な価値をもっぱら付与するに過ぎない場合は、商標法3条の規定により商標権は無効となる。

この問題で連邦特許裁は、リッターの包装材は製品に本質的な価値を付与するだけではないとして、商標法3条2項の商標権不適用要件を満たしていないとの決定を下し、BGHもこの決定を支持した。決定理由でBGHの裁判官は、リッターの板チョコの包装材に芸術的な価値はなく、また、リッターの製品は他社の同等の製品に比べて割高でもないと指摘。さらに、消費者はリッターの包装材を理由に同社の板チョコを購入しているわけではないとして、リッターの正方形の包装材は製品に本質的な価値を付与してはいないとの判断を示した。

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