VAT減税でインフレ率が最大1.6ポイント低下

ドイツ連邦統計局は13日、7月の消費者物価統計の詳細を発表した。それによると、前年同月比のインフレ率(ドイツ基準)はマイナス0.1%となり、前月の同プラス0.9%から大幅に低下した。新型コロナ危機の景気対策の一環で付加価値税(VAT)が引き下げられたことが大きい。統計局は付加価値税引き下げが小売店から消費者にどの程度、還元されたかを数値化することはできないと前置きしたうえで、引き下げ分が仮に100%、即座に還元されたとすればインフレ率は1.6ポイント押し下げられたとの試算結果を提示。付加価値税の引き下げがなければインフレ率は実際の数値よりも最大1.6ポイント高くなっていたと指摘した。

物価を最も強く押し下げたのはエネルギーで、下落幅は6.7%に上った。暖房用灯油は31.3%減、自動車燃料も12.9%減と大きく低下している。電力は2.1%上昇したものの、上げ幅は前月の4.1%から縮小した。エネルギーを除いたインフレ率は0.8%だった。

食料品も上げ幅が前月の4.4%から2.1%へと狭まった。食用油脂は3.4%低下している。果物と食肉・肉製品はそれぞれ7.8%、5.4%上昇した。エネルギーと食料品を除いた基礎インフレ率は0.7%だった。

物品ではこのほか、衣料品・靴が1.7%低下した。付加価値税引き下げの対象から除外されたタバコは6.6%上昇した。

物品の価格が平均1.4%低下したのに対し、サービスは同1.2%上昇した。物価に占める比重が約20%に上る家賃がVAT減税の対象とならず、1.4%上昇したことが大きい。このほか、感染予防対策のコスト増を受けて美容・理容・ボディケアの料金が平均4.9%上昇したこともサービス価格を押し上げた。一方、長距離移動サービスは16.0%低下した。今年1月1日付で鉄道チケットにVATの軽減税率が適用されたうえ、7月から軽減税率が本来の7%から5%に引き下げられたことが背景にある。

前月比のインフレ率はマイナス0.5%に達した。エネルギーが0.7%、食料品が2.7%下落。エネルギーと食料品を除いた基礎インフレ率はマイナス0.1%だった。

欧州連合(EU)基準のインフレ率は前年同月比が0.0%、前月比がマイナス0.5%となっている。

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