新型コロナウイルス感染症の流行を受けて独コンシューマーエレクトロニクス(CE)市場の地殻変動が加速しているもようだ。情報通信業界連盟(Bitkom)が8月27日発表したレポート『コンシューマーテクノロジーの将来』によると、テレビなど従来型CE市場の縮小が進む一方で、スマートウオッチなどのウェアラブルや、仮想現実(VR)・拡張現実(AR)など新しい技術の利用・関心が高まっている。
同レポートによると、テレビやデジタルカメラなど従来型CEの売上高は今年、前年比7.0%減の82億ユーロとなり、3年連続で縮小する見通し。全体の4割を占めるテレビは11.9%減の33億ユーロと大きく後退する。販売台数が8.0%減の600万台へと落ち込むうえ、平均価格の下落も加速するためだ。
スマートフォンの売上高は106億ユーロとなり、過去最高となった昨年から0.9%減少する。販売台数は10.0%減の1,970万台と大きく落ち込むものの、平均価格が489ユーロから539ユーロへと大幅に上昇することから、売り上げの減少は小幅にとどまる。Bitkomのアッヒム・ベルク会長は「スマートフォンは多くの消費者にとって断トツで重要な端末になった。このためある程度、価格が高くても出費をいとわない」と述べた。
スマートウオッチの販売台数は320万台となり、前年比で14.3%増加する見通しだ。新型コロナの流行を背景に生体データの測定に関心を持つ消費者が増えているという事情が大きい。
Bitkomのアンケート調査によると、VRメガネをすでに利用したことのある消費者は14%だった。「今後の利用が考えられる」も37%上っており、利用に前向きな消費者の割合は初めて50%を超えた。
ARをスマホで利用したことのある消費者は13%で、昨年の7%からほぼ倍増した。利用分野ではコンピューター・ビデオゲーム(55%)とSNSでのARフィルター(54%)が断トツで多かったものの、AR観光や住宅への家具設置シミュレーションも多かった。旅行をバーチャルで体験したり巣ごもり消費に励む消費者の増加が背景にあるもようだ。
家庭用ロボットを現在、利用している人は18%に上った。製品分野別では掃除ロボットが44%で最も多く、これに芝刈りロボットが42%で続いた。窓ふきロボットは11%にとどまった。