ダイムラーの乗用車・バン子会社メルセデスベンツ(シュツットガルト)は2日、西南ドイツのジンデルフィンゲン工場内に新設した組立ホール「ファクトリー56」の操業を開始した。同ホールにはつながる工場「インダストリー4.0(I4.0)」の技術がフルに投入されており、オラ・ケレニウス社長は自動車生産の将来を指し示すものだと明言した。
7億3,000万ユーロを投じてファクトリー56を建設した。面積はサッカー場30カ所に相当する22万平方メートル。設備は無線LANと5G通信網でつながっており、リアルタイムで制御される。従業員はタブレットPCで指示を受ける。生産中断時間を短くするために、機械は予知保全機能を通して早い時点でメンテナンスを受ける。
自動車生産に5G通信網を用いるのは同社が初めて。通信設備はエリクソン製で、運営はテレフォニカ独法人が引き受ける。
まずは旗艦モデル「Sクラス」の次世代車を生産する。来年にはEVの旗艦モデルである「EQS」も追加する予定だ。生産ラインは需要に応じてあらゆるモデルを短時間で組み込めるよう設計されている。生産効率はこれまでに比べ25%向上しているという。