被用者の在宅勤務権を法制化する方向でドイツのフベルトゥス・ハイル労相が打ち出した構想は差し当たり、実現しない見通しだ。アンゲラ・メルケル首相は8日、独手工業中央連盟(ZDH)の催しで、「この構想には議論しなければならない点が多い」と指摘。現政権中に法案が議会で可決されることはないとの見方を示した。
メルケル首相が所属する中道右派のキリスト教民主/社会同盟(CDU/CSU)とハイル労相が属する中道左派の社会民主党(SPD)は、在宅勤務の法的な枠組みを創出することを2018年の政権協定で取り決めた。ハイル労相は新型コロナウイルス感染症の流行を受けて在宅勤務が急速に増えたことを踏まえ、被用者に最低でも年に計24日、在宅勤務する権利を付与する方向で法案を作成する意向を先ごろ表明した。経済界からは懸念の声が出ており、メルケル首相は今回、これに理解を示した格好だ。