ドイツ連邦統計局が13日発表した9月の消費者物価指数(確定値)は前年同月比0.2%減となり、インフレ率は2015年1月以来の低水準を記録した。物価の下落は7月に次いで今年2度目。新型コロナ危機対策の一環で付加価値税(VAT)が7月1日から引き下げられたことがこれまでに引き続き大きな押し下げ要因となった。
物価の足を強く引っ張ったのはエネルギーで、7.1%低下した。暖房用灯油が39.6%減、自動車燃料が11.4%減と石油製品で下落幅が大きい。天然ガスは1.0%減、電力は1.9%増。エネルギーを除いたインフレ率は0.6%だった。
食料品の上げ幅は0.6%となり前月の0.7%からやや縮小した。果物が4.3%、食肉・肉製品が4.1%上昇したのに対し、野菜は5.2%下落し、全体を強く押し下げた。エネルギーと食料品を除いた基礎インフレ率は0.5%だった。
エネルギー、食料品以外の物品をみると、たばこは5.7%上昇。電話機は6.1%、娯楽家電は4.4%、情報機器は3.7%、衣料品は2.8%低下した。
消費者物価に占める比重が53%に上るサービスは1.0%増となり、上げ幅はインフレ率を大きく上回った。新型コロナ感染予防措置の義務化を受けて美容・理容/ボディケアサービスが4.8%上昇。飲食・喫茶も2.1%高くなった。金融サービスは上げ幅が5.2%に上った。長距離鉄道料金はVATが年初と7月にそれぞれ引き下げられ前年同月の19%から5%へと低下したことから、下げ幅が17.6%に達した。このほか、コロナ感染リスクを背景にパック旅行が3.8%下落している。
消費者物価は前月比では0.2%低下した。宿泊が1.6%、エネルギーが0.7%、食料品が0.3%下落。衣料品と靴は秋冬物の販売開始を受けてそれぞれ5.6%、3.6%上昇した。
欧州連合(EU)基準のインフレ率は前年同月比がマイナス0.4%、前月比もマイナス0.4%だった。