「危険地域住民の宿泊禁止は違憲」、大半の州が政策転換

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐためにドイツ国内の過半数の州が導入した宿泊制限措置は違憲の可能性が濃厚となっている。バーデン・ヴュルテンベルク(BW)とニーダーザクセン州(NS)の裁判所は15日、人口10万人当たりの直近7日間の新規感染者数が計50人を超える「危険地域(ホットスポット)」の住民がホテルなどに宿泊することを禁止したルールは基本法(憲法)で保障された移動の自由を不当に制限するものだとして、差止の仮処分命令をそれぞれ下した。

国内16州の大半は今月上旬、危険地域からの旅行者をホテルなどの宿泊施設に泊めることを原則的に禁止。48時間以内に発行された非感染証明書を提示しなければ宿泊できないようにした。

この措置は混乱と反発を引き起こした。学校の秋休みを利用して旅行を計画していた人が多いためだ。

BW州行政裁判所はこれを不当する市民の訴えを認める決定を下した。決定理由で裁判官は、感染拡大の主な原因は社会的距離ルールが順守されていないことにあると指摘。感染リスクが低い宿泊を禁止することは移動の自由を不当に制限するものだとの判断を示した。NS州上級行政裁判所も同様の決定を下している。

これを受けて、両州では危険地域の住民の宿泊禁止措置が解除された。また、ザールラント、ザクセンの2州は両判決を受けて同日、宿泊禁止措置を撤回した。20日時点で宿泊禁止を継続しているのはシュレスヴィヒ・ホルシュタイン、ハンブルク、ザクセン・アンハルトの3州にとどまる。

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