ドイツ銀行―7-9月期黒字転換―

独銀最大手のドイツ銀行(フランクフルト)が10月28日発表した2020年7-9月期(第3四半期)決算の純損益は1億8,200万ユーロの黒字となり、前年同期の赤字(9億4,200万ユーロ)から大幅に好転した。同行の足を長年、強く引っ張ってきた投資銀行部門が好調で全体をけん引。クリスティアン・ゼーヴィング頭取は「事業モデルの絞り込みが奏功した」と指摘。収益の拡大は持続的なものだと強調した。

業務収益が13%増の59億3,800万ユーロへと拡大した。債券・通貨取引事業がけん引車となり投資銀部門が43%増の24億ユーロと好調だった。コロナ禍を受けて貸倒引当金は56%増の2億7,300万ユーロへと膨らんだものの、利払い費を除くコストは10%減の51億8,300万ユーロに縮小しており、税引き前損益は前年同期の赤字(6億8,700万ユーロ)から4億8,200万ユーロの黒字へと転換した。

税引き前損益を部門別でみると、投資銀は9億5,700万ユーロの黒字となり、黒字幅は前年同期の6,400万ユーロから15倍に拡大した。資産運用部門も運用資産が2%増えるなど好調で、同利益が56%増の1億6,300万ユーロへと拡大している。一方、法人向け部門はリストラ費の計上が響いて11%減の1億8,900万ユーロへと後退。リテール部門は貸倒引当金が膨らんだことから400万ユーロの赤字へと転落した。

狭義の中核自己資本比率(CET1比率)は9月(第3四半期)末時点で13.3%となり、前年同日の13.4%をやや下回った。

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