独バイオ企業ビオンテック(マインツ)は9日、米製薬大手ファイザーと共同開発する新型コロナウイルス用ワクチン「BNT 162b2」の有効率は90%を超えるとの暫定結果を発表した。これは、ワクチンを接種した人の発病率が接種しなかった人に比べ90%以上、低いこと意味することから、感染予防効果は極めて高い。治験では重大な副作用も出ておらず、両社は来週中(16~22日)にも米食品医薬品局(FDA)に緊急使用許可(EUA)を申請する予定だ。
両社は治験の最終段階に当たる第3相臨床試験を7月末に開始した。同試験ではワクチンを計2回接種。これまでに世界の約4万4,000人が参加し、そのうち約3万9,000人が2度目の接種を終えた。今回の暫定結果は外部の独立した臨床データ監視委員会(DMC)が作成したもので、分析結果の客観性は保たれている。
両社は米国以外の医薬品認可当局とも協議を進めており、欧州医薬品庁(EMA)は10月上旬、両社の新型コロナウイルス用ワクチンの「逐次審査」を開始したことを明らかにした。同審査は、治験の最終データがすべて出そろった後に行われる通常の審査と異なり、最終的な試験結果を待たずに入手可能なデータから順次審査を進めるというもの。感染症の世界的流行などの緊急時に際して、必要なワクチンや治療薬の承認手続きを迅速化できるメリットがある。
ワクチンの効果がどの程度の期間、続くかは明らかにされていない。被験者に対する調査は2年間、行われる。
両社は今回、ワクチンを年内に1億本、製造するとした従来の見通しを同5,000万本へと下方修正した。理由は明らかにしていない。来年については同13億本とした見通しを据え置いた。