独電気電子工業会(ZVEI)が9日発表した独電機業界の9月の新規受注高は前年同月比で3.2%増加した。増加は2月以来で7カ月ぶり。コロナ禍からの回復のほか、比較対象の2019年9月は水準が極めて低かったという事情が大きい。ユーロ圏(ドイツを除く)が7.1%、国内が4.4%、ユーロ圏外が0.1%の幅で伸びた。
1~9月の新規受注高は前年同期を7.8%下回った。ユーロ圏が12.3%、ユーロ圏外が10.9%、国内が3.1%縮小した。
9月の業界生産高は物価調整後の実質で前年同月比5.7%減となり、減少幅は前月の同15.2%から縮小した。1~9月は前年同期比8.7%減だった。
10月の生産計画(先行き3カ月)で「拡大」を予定する企業の割合は前月の26.2%から22.1%へと減ったものの、「縮小」が同12.8%から9.5%へと低下したことから、拡大の割合から縮小の割合を引いた数(ディフュージョン・インデックス=DI、無効回答を除いたベース)は前月とほぼ同じ12.9ポイントとなった。同DIがプラスの領域に入るのは2カ月連続。
同DIを部門別でみると、娯楽家電(+34.6ポイント)、医療機器(+27.6ポイント)、白物家電(+28.5ポイント)、電子部品(+23.7ポイント)で数値が特に高かった。計15部門のうちマイナスとなったのはケーブル(-20.2ポイント)と情報機器(-12.0ポイント)の2部門だけだった。
9月の業界売上高は前年同月比4.5%減の163億ユーロとなり、減少幅は前月の14.0%から縮小した。地域別の内訳は国内が4.3%減、ユーロ圏が1.4%増、ユーロ圏外が8.0%減だった。
1~9月の売上高1,303億ユーロで、前年同期を8.1%割り込んだ。国内が7.6%、ユーロ圏が9.0%、ユーロ圏外が8.4%減少した。
10月の業界景況感指数(現状判断指数と期待指数の中央値)は前月のマイナス0.6からプラス1.8へと上昇し、7か月ぶりにプラスの領域へと復帰した。改善は6カ月連続。現状判断指数(現状を「良い」とする回答から「悪い」とする回答を引いた数=DI)がマイナス17.4ポイントからマイナス8.8ポイントへと大幅に上昇したことが大きい。期待指数(今後6カ月の見通しが「良い」とする回答から「悪い」とする回答を引いた数=DI)は前月のプラス17.8ポイントからプラス12.9ポイントへと悪化した。
景況感指数は白物家電(+56.5)、娯楽家電(+22.8)、情報機器(+11.9)で特に高かった。これら3部門は現状判断が高水準にある。プラスの領域に入ったのは計10部門で、前月の9部門から拡大した。
鉄道車両(-58.6)、通信機器(-19.7)、照明(-14.2)、電気駆動装置(-11.4)、電子部品(-2.1)の5部門は前月に引き続きマイマスの領域に沈んだ。現状判断が大きな足かせとなっている。
今後3カ月の輸出見通しを示す指数(DI)をみると、10月は前月のプラス10.9ポイントからプラス8.4ポイントへとやや低下し、5カ月続いた改善にストップがかかった。プラスの領域に入っているのは11部門(前月12部門)。同DIは鉄道車両(+100ポイント)、医療機器(+26.1ポイント)、情報機器(+22.8ポイント)、照明(+19.7ポイント)で特に高かった。