中国の電池新興企業、蜂巣能源科技(SVOLT)と西南ドイツのザールラント州政府は17日に共同記者会見を開き、SVOLTが同州にリチウムイオン電池工場を建設すると発表した。欧州自動車メーカーが電動車の生産を今後、急速に増やしていくことを見据え、工場進出する。ドイツに電池工場を建設する中国企業は寧徳時代新能源科技(CATL)に次いで2社目。
米フォードの工場があるザールルイ南西部のイーバーヘルンに電池セル工場、同地から30キロ離れたホイスヴァイラーにパック・モジュール工場をそれぞれ設置する。2023年から生産を開始。生産能力を段階的に引き上げていき、最終的に年24ギガワット時(GWh)まで引き上げる。投資総額は20億ユーロ、雇用規模は2,000人に達する見通しだ。
製品の納入先は不明。欧州のすべての自動車メーカーと協議している。
SVOLTは欧州工場の選定に向けて計31地域を調査し、最終的にザールラントに白羽の矢を立てた。欧州事業の責任者であるカイウヴェ・ヴォレンハウプト氏は熟練労働力と、電池生産に用いる再生可能エネルギー電力の存在、および欧州の中心に位置することが決め手となったと説明した。
工場建設には国と州が補助金を交付する考え。補助金の額は明らかにされていない。
ドイツではCATLがエアフルト、フォルクスワーゲン(VW)とスウェーデン企業ノースボルトの連合がザルツギター、仏PSAと独子会社オペル、仏サフトの連合がカイザースラオターンで電池セルの生産を計画している。新たにSVOLTが加わると、同国で生産される電池セルの規模は電気自動車(EV)170万台に相当する年82GWhに達する見通しだ。