DAXが来年9月から40銘柄に、ESGの採用基準化は先送り

フランクフルト証券取引所を運営するドイツ取引所は23日、主要な4株価指数(DAX、MDAX、SDAX、TecDAX)の改革計画を発表した。4指数の頂点に立つDAXの採用銘柄を来年9月に現在の30社から40社に増やすことが最大の柱。金融サービス大手ワイヤーカードのスキャンダルなどで浮上した問題点の解決を図る狙いもある。機関投資家や業界団体、一般投資家の意見を聞いたうえで改革を決定した。

DAXは上場最大手企業30社を対象とする株価指数。他の先進国の主要株式指数に比べ採用銘柄数が少なく、ドイツ経済の実態を正確に反映していないとの批判が以前からあった。採用銘柄が少ないことから、構成比重が大きい企業の株式が大量に売買されると、DAX全体の変動幅も大きくなるという弊害もあることから、40社に増やすことで改善を図る。これに伴いDAXのワンランク下の株価指数であるMDAXの採用銘柄を現在の60社から50社へと減らす。

ワイヤーカードは8月までDAXに採用されていた企業。帳簿に記載された総額19億ユーロの銀行口座が実際には存在しないことが発覚し、6月に経営破たんしたにもかかわらず、当時のルールに従ってDAXに採用され続け、投資家の批判を浴びた。この問題は8月に解決したものの、ドイツ取引所は会計に大きな問題がある企業を、ドイツを代表する株価指数であるDAXに採用してきたことを反省。会計に関する基準の強化を決めた。具体的には◇四半期決算と年度決算を公表しない、あるいは公表が遅れた企業◇決算を定期的に検査する委員会を監査役会内に設置しない企業――は来年3月以降、4株価指数から除外する。

ワイヤーカードに代わってスタートアップ企業のデリバリー・ヒーロー(出前仲介プラットホーム運営)がDAXに採用されたことも問題となった。同社は時価総額が小さいうえ、利益を一度も計上していないためだ。この問題については◇時価総額と市場での売買高をともに考慮して採用するこれまでの基準を改め、今後は時価総額のみを基準とする◇直近の2年間、連続して利益(EBITDA=利払い・税金・償却前利益)を計上していない企業はDAXに新規採用しない――ルールを導入して対応する。DAXにすでに採用されている企業は2年連続で赤字を出しても採用外とはならない。

ドイツ取引所はESG(環境、社会、ガバナンス)の重要性が投資市場で高まっていることを踏まえ、業績が良くても環境や社会的責任への取り組みに問題のある企業は4指数から排除する案も提示していた。これに対しては参考意見を表明した投資家などの間で賛否が分かれたことから、差し当たり見送りを決めた。市場参加者との協議を今後も行うとしていることから、将来的にESGも4指数の採用基準とする可能性がある。

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