新型コロナ後遺症の研究を国が支援へ

独研究省は23日、新型コロナウイルスへの感染後に一部の患者で発症する後遺症の研究を支援すると発表した。ワクチン接種の進展で感染が重症化するリスクは大幅に低下しているものの、後遺症については実態の解明や治療法の開発が遅れていることから、大学や研究機関のプロジェクトを支援する。計10件のプロジェクトに総額650万ユーロの助成を行う。アーニャ・カルリチェク研究相は、「(後遺症に苦しむ)これらの人々に最善のケアを行うことは医師、また特に科学の課題として残されている」と述べ、今回の支援の意義を強調した。

新型コロナの後遺症は感染からの回復後に一部の患者で発生する長期の体調不良で、「ロングコビット症候群」ないし「ポストコビット症候群」と呼ばれる。極度の倦怠感、頭痛、集中力の低下、呼吸困難、味覚・臭覚喪失などが典型的な症状だ。ロングコビットの明確な定義は現時点でないものの、推定で感染者の10%が該当している。感染の症状がなかったり軽度だった患者でも発症しており、ワクチン接種完了者でも油断はできない。

研究省が支援するプロジェクトには免疫システムの機能不全研究や、免疫システムの調整不全を免疫細胞のリプログラミングを通して改善する取り組みが含まれている。ロングコビット患者では本来は異物を攻撃する抗体が体内組織を攻撃していることが確認されているためだ。研究省はこのほか、患者の心理社会的なニーズや効果的なリハビリプログラムなどの調査も支援する。支援対象のプロジェクトチームはロングコビットに関して蓄積されたデータを利用できる。必要があれば支援期間は延長される。

上部へスクロール