天然ガス価格高騰の影響がドイツにも波及してきた。メーカーや都市エネルギー公社にガスを供給しているドイチェ・エネルギープール(DEP)は24日ホームページで、多くの顧客に解約を通告したことを明らかにするとともに、国内供給を全面的に停止することを決定したと発表した。調達価格の高騰を受けドイツでガス供給を打ち切るのは同社が初めて。顧客にはエネルギー大手のエーオンが代替供給することから支障は出ない。
DEPによると、天然ガスのスポット価格は20日時点で1メガワット時(MWh)当たり75.04ユーロとなり、昨年8月(4.8ユーロ)の約16倍の水準に上昇した。先物価格もここ数カ月で約3倍に跳ね上がっている。調達価格低下の兆しが見えないことから、同社は経営破綻を避けるためにガス供給の停止を決めた。
欧州では天然ガス価格が高騰し、英国ではすでに複数のガス会社が経営破綻した。需要が拡大する冬季を控え、ドイツでも懸念が広がっている。
一方、当局は供給不足が起きないとみている。独経済省は同日、ドイツのガス備蓄能力が英国の16倍の246億立方メートルに上ることを指摘。現在は同能力の64.69%に当たるガスを備蓄しているうえ、その量は毎週、増えているとして、「ドイツの供給能力は依然として高い」との認識を示した。