特殊化学大手の独エボニックは11月30日、人工皮膚モデルを手がけるシンガポールのスタートアップ企業レヴィヴォ・バイオシステムズに出資すると発表した。同社の皮膚モデルを利用すると動物実験なしで化粧品、化学品、医薬品を開発できることから、商業化を支援する。出資額と出資比率は明らかにしていない。
レヴィヴォはシンガポール科学技術研究庁(A*STAR)からのスピンオフ企業で、チップ上に構成された臓器の機能を持つ素子である生体機能チップ(Organ-on-a-chip)システムを開発している。培養した皮膚細胞ないし皮膚サンプルをチップ上に置き、栄養と試薬を加える。これにより皮膚の機能をシミュレーションした皮膚モデルが作られる。競合企業のモデルと異なり血流なども再現されることから、化粧品などと皮膚の相互作用も測定できるという。
同システムではさらに、試験と採取プロセスが自動化されていることから、迅速かつ低コストで作業を行うことができる。
動物実験を行って開発された医薬品や化粧品に対して批判的な消費者が増えているうえ、動物実験を禁止・制限する国が40カ国を超えることから、それに替わる試験方法のニーズは高まっている。レヴィヴォの技術は大きな期待が持てることから、エボニックは開発と市場投入を支援する。