自動車用プレス部品などを製造する独アルガイヤー・グループが中国企業に身売りするもようだ。複数のメディアが報じたもので、ドイツ政府は貿易法上の拒否権を行使せず、すでに取引を承認したという。同社は報道内容へのコメントを控えている。
アルガイヤーは独雇用者団体連合会(BDA)のディーター・フント元会長がオーナーの同族経営企業。コロナ禍前から経営が悪化しており、自社売却方針を昨年に表明。経営陣は昨年末の従業員集会で買収に関心を示す企業が1社しかないことを明らかにしていた。
この企業が中国資本かどうかをアルガイヤーは明らかにしていないものの、メディアは中国企業と報じている。社名は不明。経済紙『ハンデルスブラット』は社内情報として、すでにドイツで投資実績にある企業としている。『フランクフルター・アルゲマイネ』紙は戦略的投資家と報じていることから、投資会社ではないもようだ。
ドイツでは欧州連合(EU)および欧州自由貿易連合(EFTA)域外の企業が自国企業に一定比率以上を出資する計画に対し政府が拒否権を行使できる。所轄官庁は連邦経済・気候省。今回の案件には国防省も関与しているが、国防省はメディアの問い合わせに、防衛政策上の問題はないと判断していることを明らかにした。