ホームセンター大手の独オビがロシアの全店舗を備品込みで投資家に無償譲渡する。経済誌『ハンデルスブラット(HB)』が同社の確認を得た情報として13日に報じたもので、ロシアからの撤退した企業の国有化を同国政府が検討していることを受けた措置としている。
オビはロシアのウクライナ侵攻を受け、ロシアの計27店舗を3月17日にすべて閉鎖した。親会社テンゲルマンのクリスティアン・ハウプ社長は先ごろ経済誌『マネージャー・マガツィン』のインタビューで、「ロシア事業を今後も続け、それによって同地の政府の財政を間接的に支援することは道徳的な理由から考えられない」と発言。その際、オビの現地子会社が国有化されるとの見方を示していた。
現地店舗の売却先は明らかにされていない。現地紙『ヴェドモスチ』はロシアの投資家と報じている。
オビの広報担当者によると、売却先は「オビ」ブランドを同国で一切使用しないことを契約で確約したという。取引の成立には当局の承認が必要。
オビのロシア店舗閉鎖後、現地の経営陣は本社に無断で営業を継続しようとしたが、オビはこれを阻止するためレジをサーバーから切断し、レジの使用に必要なソフトを使えなくした。
オビは欧州10カ国で計640店舗を展開しており、売上高は87億ユーロに上る。ロシアの売上比率は5%未満にとどまるものの、同社は将来性が高いとみて市場開拓に注力してきた。昨年12月には露金融大手ズベルバンクの食品配達サービス子会社ズベルマーケットと協業。自社店舗から商品を迅速配達するパイロットプロジェクトを実施した。